Q. 3単現,なぜsがつく? ―昔の英語の名残です

こんにちは,ヨカワユキです。

中学校で学ぶ英文法の3単現のs。
なぜsをつけなければならないのでしょうか。

 

なんで3単現の文は動詞に s をつけなきゃならないんですか?

3単現の s は昔使われていた英語の名残です。
英語は時の流れとともに変化しています。
消えた単語や発音もありますが,3単現の s は今も残っているのです。

 

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3単現の s の歴史,奥が深い…

3単現の s の謎を調べるにあたり, 下記サイトを参考にしました。

研究社ウェブ・はじめての英語史
英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史 コンパニオン・サイトです。
#2112. なぜ3単現の -''s'' がつくのか?

英語が変わっていく過程で登場する,英語を使うさまざまな地域・地位(階級)の人たちと,彼らの力関係が見えてきます。

一口に英語といっても,話す人によっても時代によっても微妙な違いがあります。

私たちが今馴染んでいる英語は,いわゆる「標準」英語をもとにしています。
「標準」英語は,ロンドンで影響力のある階級の人たちが使っていた英語です。

ロンドンは,政治的・文化的・経済的な中心地でした。
その地域で力のある人たちが話す英語には,ポジティブな印象がありました。
それでこの英語が広く受け入れられ,現代の英語へと続いていきました。

一方,古英語(11世紀頃まで使われていた英語)では 1人称・2人称・3人称・複数形の主語について現在形で話すとき,それぞれで動詞の語尾を変えていました。
しかし古英語の末期頃には,語尾の音が弱くなり,消えるという音の変化が進みます。
その過程で動詞の語尾の音が変化したりなくなったりしていきましたが,3単現時の動詞の語尾だけは,音声的に消えにくい音だったので,消えることなく残りました。

まとめると,音声的な事情で生き残った3単現の s は,ロンドン界隈で力のある階級の人たちが話す英語に採用され,今の一般的な英語まで引き継がれているということです。

 

言語とは変わっていくもの

「言語って面白いなー」と改めて思いました。

言語は人が使うもの。
言語とそれを使う人のつながりは,絶対に切れません。
だからこそ,言語は使う人によって,時代によって変化していきます。

英語だけでなく,日本語もどんどん変わってますね。
同じ言葉でも時代によって使われ方が違っていたり,新しい言葉が日々作られたり。
地域によっては方言もあり,使う言葉やイントネーション,発音が違っていたりもします。

教科書や問題集で英語を学んでいると,英語を無味乾燥な「モノ」に見えますが,人が使うことで変化していく「血の通ったいきもの」と捉えたほうが「言語」本来の性質に適っているかもしれません。

 

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