こんにちは,ヨカワユキです。
✓シンプルな英語を使ってみたい
あなたは,「グロービッシュ」についてどう思いますか?
グロービッシュとは
Global と English を合わせた造語で,英語の非ネイティブが英語を使うときの指針を示しています。
“highly simplified and unidiomatic”
とされている通り,使う語彙数や文法を制限し,分かりやすい英語を使うというのがグロービッシュの根幹です。
フランスの,ジャン=ポール・ネリエール氏が2004年に提唱しました。
ジャン=ポール・ネリエール氏自らが執筆した「グロービッシュ:非ネイティブ英語は主役となるか」から,グロービッシュの10個のルールを引用します(日本語訳は私が追加)。
The Ten Basic Rules of Globish
1. Whoever speaks or writes is responsible for being understood, the other person is never guilty.
話したり書いたりする人は誰であっても理解されることに責任を負っており,聞き手や読み手に罪はない
2. Use only words in the Globish glossary (1500 words).
グロービッシュで使うのは1500語のみ
3. Use mostly active voice.
基本的には能動態を使う
4. Keep sentences short (15 words or fewer).
文は短く(15語以下で)
5. Repeat yourself.
一度伝えて終わりにしない
6. Avoid metaphors, colorful expressions, and idioms.
比喩や豊かな表現,イディオムは避ける
7. Avoid negative questions.
否定疑問文は避ける
8. Avoid all humor.
すべてのユーモアを避ける
9. Avoid acronyms.
頭字語(United Nations = UN など,頭文字をつなげてできている表現)を避ける
いかがでしょう?
確かに,これらのルールに基づいた英語はだいぶシンプルなものになりそうですが…。
ちなみに引用元の「グロービッシュ:非ネイティブ英語は主役となるか」は,上記のグロービッシュのルールに基づいて書かれています。
百聞は一見にしかず。
グロービッシュがどんなものか分かるので,ぜひご覧ください。
グロービッシュは英語学習者を(完全には)救えない
さてこのグロービッシュ,つまるところ英語学習者にとって益となるのでしょうか?
というのも,グロービッシュのコンセプト自体は魅力的なのですが,このルールに基づいた英語を使っている人が多くないのです。
つまり,あまり浸透していない。
世の中にあふれている英語は,単語や文法に全く制限が加えられていない,通常の英語です。
グロービッシュだけ学習していては,通常の英文が理解できません。
自分が英語を話したり書いたりする場合は,使う英語を自分でコントロールできるので,グロービッシュでこと足りるかもしれません。
実際,先ほど挙げた記事はグロービッシュで書かれていますが,内容が稚拙になっている様子もありません。
あなたが何を話したいか,書きたいかによって,使う語彙や表現は変わってくるので,グロービッシュだけで大丈夫!と一概には言えないですが,まずはグロービッシュで使われる1500語を身につけて,言いたいことを表現してみるのはアリです。
グロービッシュだけで表現しきれないのなら,追加で学んでいけばよいですね。
※グロービッシュに含まれる1500語は,こちら から確認できます。
グロービッシュは英語の文化を無視する
グロービッシュのルールを見ていて,私自身もう1つ気になったことがあります。
グロービッシュが,比喩やユーモア,イディオムを使わないようにしている点です。
そもそもグロービッシュの方針が「非ネイティブでも使いやすく分かりやすいシンプルな英語を!」なので,比喩やユーモア,イディオムを避けるということ自体は理解できます。
なぜならこれらは,互いに文化を共有していないとコミュニケーションで齟齬が生じやすいからです。
とはいえ,比喩やユーモア,イディオムには,英語圏の人たちの感性やものの見方,考え方が濃く反映されているので,それらを避けてしまうのは、英語を理解するという点で非常にもったいないと思います。
また,比喩やユーモアは,会話を楽しくする要素です。
それらがなくなってしまうと,英語が要件をただ伝え合う無味乾燥な伝達手段になってしまいそうです。
以上の理由から,私はグロービッシュだけを勉強することを推奨しません。
グロービッシュは,身につけておくとよい英語の最低ライン,と位置づけておくのがよいと思います。
グロービッシュ関連のオススメ本
最後にグロービッシュ関連でオススメの本を1冊紹介します。
この本の良いところは,グロービッシュ+α の英語学習を勧めているところです。
グロービッシュは語彙も文法も制限されているため,グロービッシュだけ学んでも,グロービッシュを使わない大多数の人の英語は理解できません。
そこで本書は,グロービッシュよりも少し拡大した英語の学習範囲を提唱しています。
文法は,中学+高校1年の範囲,単語は中学+TOEIC600点程度の範囲+専門用語 です。
さらに,英語の学習方法や,ビジネスの場面で英語を使うときのアドバイス,英語力が足りないときのコミュニケーションの工夫など,英語は苦手だけど仕事で使わざるを得ないあなたのヒントになることが書かれています。
ぜひ手にとってみてください。
英語学習の個別サポート,承ります。
下記からご連絡ください。
グロービッシュだけに制限せず,英語を勉強することをオススメします。