アニメの吹き替え(Dub) で 英語に親しむ <実践編> 「ユーリ!!! on ICE」でやってみた!

こんにちは,ヨカワユキです。

✓アニメを使って英語を学びたい
✓「ユーリ!!! on ICE」好き・はまった!
✓英語吹き替えがどんな感じか気になる

あなたに「ユーリ!!! on ICE」の英語吹き替えについてお届けします。

 

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英語吹き替えの醍醐味

日本人声優が日本語で演じているキャラクターは,英語になるとどんな声でどんなセリフをしゃべるのか。
好きな作品だとなおのこと気になります。

語彙も文法も,それぞれの言語が生まれて変化してきた土壌も違うので,英語と日本語は一対一対応で翻訳できるわけではありません
直訳した日本語のセリフが英語話者にとって「伝わる・分かる」英語であるか疑わしいこともしばしばです。
そういうわけで,セリフなど感情がのる表現は特にうまい訳がなされています。
翻訳先の言語の話者がひっかかりなく理解できる+元のセリフで伝えたい内容を反映させた表現になっています。
アニメの吹き替え(Dub) で 英語に親しむ <やり方編>
こんにちは,ヨカワユキです。✓アニメ好き✓英語学習にアニメを使ってみたい✓楽しく英語を学びたいあなたにアニメを使った英語学習を提案します。英...

 

(ちなみに)「ユーリ!!! on ICE」とは

「ユーリ!!! on ICE」は,日本を代表するフィギュアスケーター 勝生勇利が,小さい頃から憧れている世界トップのフィギュアスケーター ヴィクトル・ニキフォロフ にコーチをしてもらい,フィギュアスケートの世界大会( グランプリファイナル)で金メダルを目指していく物語です。

その過程で国際色豊かなフィギュアスケーターたちが登場します。
ストーリーが面白いのはもちろん,フィギュアスケートの演技の映像,音,楽曲もとても美しい作品です。

TVアニメ「ユーリ!!! on ICE」公式サイト
久保ミツロウ×山本沙代×MAPPAによる、本格フィギュアスケートアニメ「ユーリ!!! on ICE」公式サイト。テレビ朝日ほかにて2016年...

英語版の雰囲気はこんな感じ。

 

日英セリフ比較

1話冒頭 勇利がヴィクトルのスケートを見ながらつぶやく

彼はいつも僕をびっくりさせる。 Over the years, he’s never ceased to surprise me.
初めて彼のスケートを見たときからずっと,驚きの連続だった。 From the first time I saw him skate till now, it’s been one surprise after another.
2文とも,現在完了がど真ん中でハマるセリフです!
現在完了形は,「過去にこんなことがあってね,それが今も続いてるんだよ」ということを伝えるのに適した文法。
「彼のスケートを最初に見たときにもう既に驚いたんだけど,その後も,何度彼のスケートを見てもずっと驚いているんだ」というニュアンスを伝えています。
「いつもびっくりさせる」を never cease to surprise me としています。
cease は やめる という意味がありますが,やや堅い表現です。
もっとカジュアルな stop は使わないんだろうかと英英辞書を見てみたところ,never cease to amaze me という表現がありました。
セリフでは,amaze を surprise に変えているだけですね。
定型表現として定着しているものと思われます。
「驚きの連続だった」は,one surprise after another を使っています。
名詞 surprise が次から次に,というニュアンスが英語でも反映されています。

第3話 演技する曲が決まった勇利に,ヴィクトルがアドバイス

世界中のみんなはまだ勇利の本当のエロスを知らないんだ。 Unleash the Eros within you.
それは勇利だって気がついていない魅力かもしれない。 Maybe no one ‘s seen it before, but I know it’s there, smoldering deep down inside you waiting for.
それを早く教えてくれないか。 It’s chance to come out.
日本語のセリフが大きく変更された訳になっています。
唯一対応しているのは,「世界中のみんなはまだ勇利の本当のエロスを知らないんだ」→”Maybe no one’s seen it before.” のところでしょうか。
抜粋箇所全体を通してみてみると,
日本語の,状態を説明しながら勇利の気持ちを誘導→お願いする という流れが,
英語では,ヴィクトルから勇利へ要求する→それをしてもらうために説得する
に変換されている印象を受けます。
「周りを固めてお願いする」か,「してほしいことをはっきり述べてその根拠を上乗せする」か,の違いはとても面白いです。
日本語とそれを使う人の思考パターン,英語とそれを使う人の思考パターンが反映されているのかもしれません。
単語では unleash と smolder のチョイスに萌えました。
leash は「犬などをつないでおくひも」を指します。
動詞として使う場合「ひもでつなぐ」という意味になります。
それに否定を意味する接頭辞un がついているので,「解放する」「解き放つ」という意味です。
smolder は,炎なしでゆっくりじっくり燃えるという意味。
勇利の中にはエロスがいる,それは静かにゆっくりではあるけれどもちゃんと生きていて,外に出るのを待っている…。
中に閉じこもっているそれを今解放して!という感じですね。

第7話 プレッシャーにつぶされて号泣する勇利からヴィクトルへ

僕が勝つって僕より信じてよ。 Just have more faith I’m going to win than I do.
だまってていいから離れずにそばにいてよ。 I order not to say anything, just stay close to me.
faith という強い意味をもつ単語を使っているのが印象的です。
faith は,人やものに対しての強い信頼や自信を意味する言葉です。
ここで単に believe me とせずに,もっと強い信頼を have つまり持っている状態でいる,としたところに,勇利がどれだけ強い気持ちを込めてこのセリフを言っているのかを感じることができます。
その後の日本語の「だまってていい」というのを ”order not to say anything” にしているところがまた絶妙です。
勇利の強い訴えをここでも反映していて,「何も言わないことを命じる」としているんですね。
“Don’t say anything.” よりも重みと堅さがあり,それだけ真剣な訴えなのだ,という印象を得ます。
「離れずにそばにいて」の部分もいろいろな言い方があると思いますが,”Stay close to me.” を使っています。
stay「とどまる」,close to me「私の近くに」です。
この表現からは,距離の近いところに常にいるイメージが浮かんできます。

第7話 上記のやりとりのあと,フリースケーティング(FS)での勇利のモノローグ

もっと強くなりたい。 I want to become stronger.
もっと強くなれる。 I’ll become stronger.
僕はヴィクトルの想像を超えられる。 I can surpass the Victor’s wildest imagination.
「もっと強く」はそのまま比較級を使って表現しています。
2つめの「もっと強くなれる」には,will を使っています。
will は意志を表すことができる助動詞です。
自分はもっと強くなるんだ!という決意を感じます。
3つめの「ヴィクトルの想像」の部分に,英語ではwildestを加えているのが面白いです。
wild「野性的な」の最上級ですが,ヴィクトルの想像がダイナミックで小さく収まるものではないことが透けて見える感じがします。

第10話 グランプリファイナル直前,ヴィクトルから勇利へ

いいよ。 OK.
何も考えなくていいおまじない。 I’ll tell you something that you won’t have to think about tomorrow.
明日は,勇利がいちばん好きだって言えるスケートを見せてね。 Skating the way that’s true to yourself.

Show me a program that makes you proud.

俺が知ってる金メダルの近道なんてそれくらいだ。 There’s only way to a gold medal that I know and that’s it.
俺は勇利の決めたことを絶対信じるよ。
「おまじない」を ”something” という無味乾燥な感じの言葉にしているところが面白いですね。
日本語の「おまじない」はなんだか可愛らしい感じがしますが,英語からはそんな雰囲気は一切漂っていないという…。
「勇利がいちばん好きだって言える」を,”true to yourself” と”makes you proud” で表現しているのが好きです。
「自分自身に対して真実である」,言い換えると「自分に嘘をつかない」。
「自分に誇りを持てる」スケートをと。
ここで like でも使おうものなら,一気にメッセージが軽くなる気がします。
日本語セリフの一番最後の「俺は勇利の決めたことを絶対信じるよ」ですが,これに直接対応する英語のセリフがないんですよね。
日本語のセリフは全体的に,勇利の気持ちを落ち着かせて安心させるような言い方をしているなと感じます。
英語のセリフでは,最後が ”that’s it” になっています。
これは,「それで終わり」「それだけ」というニュアンスを持つ表現なので,もうアドバイス(おまじない)はすべてしきった!という印象。
英語のほうは,勇利を安心させるというより鼓舞している感じがします。

日本語で伝えることと英語で伝えること,たくさんの違いがありますよね。

 

話し方も楽しめる英語吹き替え

実は音の面での楽しさもあるのが「ユーリ!!! on ICE」の英語吹き替え。
アメリカやカナダなど英語圏出身のスケーターだけでなく,ロシア,イタリア,タイなどいろいろな国出身のスケーターが登場するので,ロシア出身スケーターの発音がロシア語っぽい英語になってたり,イタリア出身のスケーターはイタリア語っぽい英語を話していたりと,そういうのも楽しめます。

 

「ハウルの動く城」英語吹き替えの表現はこちらで紹介しています。

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